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4.推論・分析力問題の解答と解説

      2012/03/01

少しややこしい問題です。

<<解説>>

本問は、ある研究者の仮説を一層強く補強するデータとして最も適当な内容の選択肢を選ぶ問題である。各選択肢の内容はいずれも事実とされているのだから、検討にあたっては各選択肢の内容を前提として「寄生性甲殻類Tは宿主であるRの生残率に影響を与えない」というこの研究者の仮説をより直接的に補強するものを正解肢とするべきである。
この研究者の主張の論拠は1歳から5歳までのRでTの寄生率が一定であるということである。これは、仮にTの寄生が宿主Rの生残率に大きな影響を与えるとすると、Tに寄生されたRは死に易くなるはずであるから、グラフの折れ線は右下がりになるはずであるが実際のグラフそうなっていないので、TはRの生残率に影響を与えていないという推論に支えられている。しかしながらこの推論は、1歳から5歳までのRにおいてTの寄生率が一定でも、Tの寄生によって死んだRの割合と、新たにTが寄生するそれまでTが寄生していなかったRの割合が一定である結果、グラフが一定になるという可能性において補強が必要である。
そして(2)は、Tは稚魚期のRに寄生し、ある程度大きくなったRに寄生をすることはないと述べており、この可能性を否定している。また、6歳以降のRにおいて寄生率が激減したことは、稚魚期のRに寄生して共に成長してきたTが、寿命で死んでRから脱落したことを示唆している。したがって、これはこの研究者の「Tの寄生が宿主Rの生残率に影響を与えないこと」を直接的に補強する内容だと言える。よって、(2)はこの研究者の仮説を一層強く補強するものとして最も適当だと言える。よって(2)が正解である。

他の選択肢についても検討する。
(1)は、天然に生息するRの寿命が約20年で、その生存曲線は魚類に典型的なものであると述べている。しかしながら、Rの寿命やその生存曲線が魚類に典型的なものであるかどうかは、寄生虫TがRに与える影響を論じる上で必要になるデータではない。すなわち、本肢はこの研究者の仮説を一層強く補強するものとして最も適当なものとは言えない。よって不正解である。

(3)は、Tの寄生はRに栄養学的な影響を与えるという事実はないと述べている。この記述からは、TはRの摂餌行動に影響を与えずRを瘠せさせるようなことはないということがわかる。確かに、TがRに栄養学的な影響を与えないということから、その生残率にも影響を与えないという仮説が補強されるといえなくもない。しかしながら、(2)の内容がこの研究者の仮説を直接的に補強するものである以上、本肢はこの研究者の仮説を一層強く補強するものとして最も適当なものとは言えない。よって不正解である。

(4)は、一般的に宿主に影響を与えない寄生虫の宿主に対する寄生率が約20%だと述べている。しかしながら、Tが一般的な寄生虫か否かの客観的な判断は困難であり、また、Tの調査魚全体における寄生率が20%であったからといって、Tが宿主の生残率に影響を与えないとは言えない。すなわち、本肢はこの研究者の仮説を一層強く補強するものとして最も適当なものとは言えない。よって不正解である。

(5)は、Tが寄生したRについて、寄生しているTの体長とRの体長は正比例の関係にあると述べている。この記述からは、サンプルの見た目上、TとRは共に成長しているということがわかり、TとRが実際に共に成長しているならば、TはRを殺さずに共に成長しているということが言えなくもない。しかしながら、TはRに寄生してから即座にRの体長と比較して一定の割合の大きさまで成長する可能性は否定できない。すなわち、本肢はこの研究者の仮説を一層強く補強するものとして最も適当なものとは言えない。よって不正解である。

以上より、正解は(2)である。

 - 雑文

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