雨。濡れたあと

自転車での帰宅途中、いわゆるゲリラ豪雨というやつに降られてずぶ濡れになってしまった。たまたま少し前に買ったブーツを履いていた足だけは濡れずに済んだが、それ以外は着衣水泳でもやったかのような有様であった。

海藻みたいになった髪から流れ落ちる水で遮られた視界の中、妙に冷えた肌に不快感を伴いじっとりと張り付く服から立ち昇る汗と雨の混じった臭い、そこにさっきまで弄り回していた魚の悪臭が加わる。ようやくたどり着いた自宅の玄関で、それらの臭気に包まれながら、僕は鞄の中に入れていたやたら高い参考書や、ボールペンで書かれた字の滲みまくったルーズリーフや、USBメモリの変わり果てた姿と対面した。それらを暫しぼんやりと見つめながら一人で「フフフ・・・タッハハ、アハハ・・・」と笑っていたのだが、唐突に、何の脈絡も無く、「ああ、淫獣になりたい」という、意味不明な願望が何もない空っぽの心にふぅと浮かび上がってきた。そうだ、僕は淫獣になりたい!淫獣になるんだ!うおおォオオオオオ・・・オ・・・ッ!!

失ったものの大きさに崩壊しかかった理性の中で、獣のような臭気や、肌に纏わり付くしどどに濡れた服の感触が、僕の眠れる何かを呼び起こしたのかもしれない。

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