愛媛の中予水産試験場へ行き、天然マダイの資源量調査に便乗してタイノエのサンプリングを行なってきた。
今回漁獲された天然マダイのサンプル数は85個体であった。計測を終えたマダイはスタッフでおいしくいただいた。
マダイの口の中に虫がいるのがお分かりいただけるだろうか。この虫が寄生性等脚類のタイノエ Rhexanella verrucosa である。大きくてインパクトもあり世間的には割と有名な虫ではあるが、本格的な研究は行われておらず、この虫についての知見はほとんど存在しない。おそらく、サンプルを定期的にまとまって手に入れるのが難しいことと、深刻な病害性が無いということが理由であろう。研究には多分にお金がかかる。金銭的被害が出ていないものを、金をかけてまで調べる必要もあるまい…というわけである。「では、お前がやっていることは何だ?」といわれそうだが、これだけ大きな寄生虫が寄生してて、本当にマダイは病害性を与えていないのか?そこまで、寄生虫と宿主とは進化の過程で折り合いがついているものなのか?そこのところを、タイノエを通して確認してみたいと考えている。
下顎を取り去ったようすが上記写真である。大きい個体が雌で小さい個体が雄である。雌は子持ちであった。仔虫はざっと見積もって1000個体いる。この直後に5%海水ホルマリン固定液へと投下された。
タイノエについての初回のサンプリングであった。やはりフィールドで直接虫を採集することには大きな意味がある。これから東京に持ち帰り、いろいろと調べることになるが、多くの知見が得られるであろう予感がする。有意義なサンプリングであったと思う。
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