上質のサイエンスミステリー、『草魚バスターズ もじゃもじゃ先生、京都大覚寺大沢池を再生する』を諸々と担当しました【スタジオ大四畳半】

草魚バスターズ_カバー WORKS

京都嵯峨芸術大学の真板昭夫先生の著書『草魚バスターズ もじゃもじゃ先生、京都大覚寺大沢池を再生する』で、企画と編集、スタジオ大四畳半でカバー・本文イラストを担当しました。

草魚バスターズ_カバー
※帯付きVer.

名勝・大覚寺大沢池。1200年前の平安時代、当時の嵯峨天皇が弘法大師空海の進言を受けて作庭したこの池は、水草を除去しようと放流された草魚(水草を食べ、体長は2mにもなる中国産の外来魚)によって、完全に崩壊してしまいました。地獄絵図となった大沢池を再生するために結成されたのが、「もじゃもじゃ先生」こと著者の真板先生がリーダーを務める「草魚バスターズ」です。舞台がお寺という特殊な場所であったことも強く影響するのですが、本書の中では「人間の都合で動物を殺していいのか?」という問いが大きな課題として著者に降りかかります。その問いに、悩みながらも、最終的に一つの明快な解を導いているところが前半の見どころです。

後半では、物語は次第に「謎解き」の様相を呈してきます。大沢池の再生は、単純に草魚の数をコントロールするだけでは叶わなかったのです。池では生物の多様性と複雑な相互作用によって次々と謎が生み出されます。しかし真板先生は、それらの謎を実に14年をかけてコツコツと解きほぐしていきます。その一例が、「『以前の美しい大沢池の風景』とはいうが、どのような風景を目標として修復作業を行えばいいのか?」ということです。帯のキャッチには「1200年前の美しい景観を取り戻せ!」とあります。しかし、そんな昔の風景などそうそう記録に残っているものではありません。何を根拠にして、平安時代の大沢池の風景を再生したらいいのか……。この難題は思わぬところに突破口がありました。大覚寺に伝わる嵯峨御流という「いけばな」の流派の花態(いけばなの生けかた)の中に、なんと生物多様性に基づいた大沢池の復元情報が残っていたのです! このあたりのくだりは、日本版『ダ・ヴィンチ・コード』のようでもあります。帯の推薦文でC・W・ニコルさんが「上質のミステリーのようです!」と書かれていますが、まさにその通り。加えて、『ダ・ヴィンチ・コード』は小説家が頭で考えたフィクションですが、この『草魚バスターズ』は生物学者がフィールドワークの中で経験したノンフィクションなのです。

大人の方はもちろんですが、中高生にぜひ手にとっていただき、「人と自然との関わりかた」について思い巡らせていただきたい本です。ぜひお読みください!

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